2025年版 ゼロトラスト・セキュリティの全貌と最新トレンド ― 米国・EU規制から日本企業まで迫る「待ったなし」の現実
更新日:2025.09.22 投稿日:2025.09.11
情報セキュリティ
目次
はじめに ― 「社内だから安心」が通用しない時代
2024年、米国の大学病院がVPN経由の攻撃を受け、数百台の端末が暗号化され業務停止に追い込まれました。復旧費用は数十億円規模に達し、医療現場は大混乱。日本でも自治体や中小企業が標的型攻撃で内部ネットワークを突破され、情報漏洩や業務停止が相次いでいます。これまでのセキュリティは「社内ネットワークに入った人は信頼する」という境界防御モデルでした。しかしクラウド利用の拡大、リモートワークの常態化、そしてサイバー攻撃の高度化により、この前提は完全に崩壊しました。そこで浮上したのが ゼロトラスト(Zero Trust) です。「常に確認し続ける」=“決して信頼しない”を出発点とする考え方が、いま世界標準になりつつあります。
世界の動向 ― ゼロトラストは規制で義務化へ
米国政府の取り組み
2024年末、米国連邦政府機関はゼロトラスト移行計画の第1段階を完了しました。そこでは、
・多要素認証(MFA)
・端末状態のチェック
・通信の暗号化
が必須要件とされ、その影響は民間企業にも急速に波及しています。
EU(NIS2指令)
EUでは NIS2指令 が発効し、経営層にまでセキュリティ責任を求めるようになりました。数万社が対象となり、ゼロトラスト導入が「選択肢」ではなく「必須」として加速しています。
米国CISAの成熟度モデル
米国サイバーセキュリティ庁(CISA)は、
・ID
・端末
・ネットワーク
・アプリケーション
・データ
という5つの柱をベースに成熟度モデルを策定。企業がどの段階から取り組めばよいか、明確な道筋を示しています。 つまりゼロトラストは 「大企業だけの戦略」ではなく、日本企業にとっても法規制と競争力の両面から“待ったなし” の課題となっているのです。
ゼロトラストとは?
ゼロトラストとは「誰が・どの端末から・どのデータにアクセスしているか」を常に検証し、必要最小限の権限だけを許可する考え方です。わかりやすい例が 空港の保安検査です。パスポートを毎回提示し、荷物検査を通らなければ搭乗できないように、ユーザーや端末もアクセスのたびに検証されます。要するに “社内だから安心”という発想を捨てること こそが、ゼロトラストの出発点です。
2025年に押さえるべき10のゼロトラスト・トレンド
1. フィッシングに強いMFAが標準に
パスワード+ワンタイムコードでは突破される時代。物理キーやパスキーが急速に普及。
2. リスク適応型アクセス
端末の状態や利用行動をもとに、アクセス可否を動的に判断。
3. VPNからZTNAへ
ネットワーク単位ではなく、アプリ単位で認証・認可する ゼロトラスト・ネットワークアクセス が主流に。
4. アプリ間の認証強化
サービス同士が「サービスID」で認証する仕組み(サービスメッシュ)が普及。
5. 内部通信の全面暗号化と細分化
社内LANも暗号化を前提とした設計へ。
6. クラウド前提のセキュリティ設計
標準テンプレートやIaC(Infrastructure as Code)で一貫性を確保。
7. データ分類を前提にした自動制御
機密度に応じてアクセス制御を自動化し、ヒューマンエラーを減らす。
8. ログの一元化と可視化
SOCやSIEMで横断的に相関分析できる仕組みが必須に。
9. 成熟度モデルを使ったロードマップ化
いきなり理想を目指さず、段階的に導入して組織負担を軽減。
10. 規制対応を経営合意の武器に
「法律で必要だから」という説明が、経営層や現場を動かす最大の説得材料に。
まとめ ― 2025年はゼロトラスト“実装の年”
ゼロトラストは「新しいセキュリティ製品を買えば完成する仕組み」ではありません。それは、社内ルールや運用を刷新し、段階的に成熟させていくプロジェクトです。2025年に押さえるべきポイントは、
・アイデンティティ中心の管理
・アプリやサービスIDの活用
・クラウド前提の設計図を使ったロードマップ化
これらに取り組むことで、セキュリティ投資の「説明責任」と「運用の実効性」を両立できます。
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Volta Networksは、出版・研修・コンサルティングを通じて、企業がゼロトラスト導入を「実務に落とし込む」ための伴走支援を行っています。安心して次の一歩を踏み出せるよう、実践的な知見と支援を提供し続けます。
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