クラウドサービスのセキュリティ管理 ― Microsoft 365・Google Workspaceを安全に使うために

更新日:2025.10.24 投稿日:2025.10.24

情報セキュリティ

クラウド

はじめに ―「便利」は前提、「安全に回す」が競争力

クラウドはもはや“導入するかどうか”の段階を過ぎ、業務を前提から支える基盤になりました。Microsoft 365やGoogle Workspaceが当たり前になった分、事故の多くは“人と設定”から生まれます。誤共有、退職者アカウントの放置、緩いアクセス――どれも劇的ではないのに、現実の被害はここから起きます。求められているのは、最新の道具を増やすことよりも、当たり前を外さずに回し続ける運用です。

まず押さえるべき3原則

1. 共有責任モデル
クラウド事業者は“土台”を守り、データ/設定/アカウント/端末は利用企業の責任です。

2. ゼロトラスト(常時検証)
“社内=安全”を捨て、アクセスのたびにID・端末・文脈で検証することが必要不可欠です。

3. データ中心
サービスごとではなく、データの機密度と利用文脈で制御(分類・ラベル・DLP)することで見える化。

最新の動向(2025年版)

1. ゼロトラスト運用の前提化
アクセスは「常に検証」が基本です。クラウドも例外ではありません。

2. IDaaSの普及
Entra ID(旧Azure AD)などを使い「アカウント一元管理+MFA」が必須化しています。

3. SaaSガバナンス強化
API連携で誰が・いつ・何を使ったかの可視化が当たり前に。

4. ログの統合監視
Microsoft SentinelなどのSIEMで「異常な操作」を早期検知する仕組みが大切です。

5. 法規制との連動
個人情報保護法やNIS2など、クラウド利用時の管理責任が経営層にまで求められる時代になっています。

実務で押さえるポイント

MFAの標準化
「MFAの標準化」とは “どの企業・サービスでも同じやり方でMFAを導入・利用できるようにする取り組み” です。これによって利用者はわかりやすく、企業側も安全性を確保しやすくなります。

退職者アカウントの即時削除
人事とITで連携フローを明文化しておくことで、セキュリティリスク防止・責任の所在を明確化・法令コンプライアンス対応がスムーズに行えます。

共有設定の定期点検
定期的に外部共有リンクを洗い出して不要なものを削除し、さらにリンク作成時には自動的に期限・パスワード・透かしを付与する仕組みを導入する= 共有漏洩を未然に防ぐ“仕組み化” が大切です。

SaaS利用状況の可視化
SSPM / CASBで会社で使われているSaaS(クラウドサービス)の利用状況を見える化して、承認済み / 未承認を含めて監査しやすくするとリスクを未然に防ぐことができます。

5. ログ監視の仕組みづくり
不審な操作を検知するルールを設定しておくことで、インシデントを早期に検知する仕組みを整えることができます。

社会的価値と今後の展望

クラウドは業務効率を飛躍させる一方、設定ひとつで守りが崩れる脆さをはらみます。だからこそ、IT部門だけでなく経営層も巻き込む全社的な取り組みが不可欠です。「便利さと安全性の両立」こそが競争力になり、取引先からの信頼獲得にも直結します。

Volta Networksのサポート

Volta Networksは、Microsoft 365やGoogle Workspaceを中心としたクラウド利用に関する セキュリティ診断・運用設計・社員教育 を提供しています。「アカウント管理の一元化」「ゼロトラスト認証の導入」「ログ監査の仕組みづくり」など、企業ごとの実情に合わせたロードマップを提示。クラウド活用を安心して推進できるよう、実務に即した伴走支援を行います。

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