多層防御とは?企業が今取り入れるべきサイバーセキュリティ戦略

更新日:2024.12.08 投稿日:2024.12.08 セキュリティ技術

サイバー攻撃の手口がますます高度化する中で、企業にとって重要なのは「多層防御」と呼ばれる戦略的なセキュリティ対策です。多層防御とは、複数の異なる防御策を組み合わせることで、サイバー攻撃から企業を総合的に守るアプローチです。この記事では、多層防御の基本概念と、企業が今取り入れるべき具体的なサイバーセキュリティ戦略を紹介します。

多層防御とは?

多層防御(Defense in Depth)とは?

多層防御は、サイバーセキュリティにおいて、複数の異なる防御策を組み合わせて、攻撃者が一つの対策を突破しても別の対策で防ぐ仕組みを指します。この戦略は、「玉ねぎの層」のように、企業のシステムやデータを多重の防御で囲むことで、攻撃を複雑にし、リスクを分散することを目指しています。

なぜ多層防御が重要なのか?

サイバー攻撃は、1つの防御策だけでは完全に防ぐことが難しいため、多層防御が重要です。攻撃者は複数の手法を駆使して、弱点を突くことを試みるため、複数の防御策を組み合わせることで、攻撃をより困難にし、成功する確率を減らすことができます。

多層防御

  • リスクの分散:一つの防御策が破られても、他の防御策があるため、攻撃の影響を最小限に抑えられます。
  • 攻撃者の負担増加:複数の層を突破する必要があるため、攻撃者にとってコストが高く、成功率が低下します。
  • 迅速な対応と回復:侵入を早期に発見し、迅速に対処するための手段を複数持つことで、被害を抑えることができます。

企業が取り入れるべき多層防御の要素

企業が効果的な多層防御を構築するためには、以下の要素をバランス良く組み合わせることが重要です。

1. ネットワークセキュリティ

ネットワークは企業のシステム全体をつなぐ重要な部分であり、ここへの侵入を防ぐことが多層防御の基本です。

ネットワークセキュリティの強化

  • ファイアウォールの導入:ネットワークの出入りを監視し、不正なアクセスをブロックします。
  • 侵入検知・防止システム(IDS/IPS)の利用:不審な動きがあれば即座に通知し、対応できる体制を整えます。

2. エンドポイントセキュリティ

エンドポイント(PC、スマホ、タブレットなど)は攻撃の入り口になることが多いため、ここを守ることも重要です

エンドポイントセキュリティの導入

  • 次世代アンチウイルス(NGAV)の導入:AIや機械学習を用いて、既知・未知の脅威を検出・ブロックします。
  • エンドポイント検出と対応(EDR)ツール:エンドポイント上の異常な活動をリアルタイムで監視し、攻撃を早期に発見し対応します。

3. データ保護

企業の機密データが盗まれたり、改ざんされたりしないように、データ保護の対策も欠かせません。

データの安全性を確保する

  • データ暗号化:データの保存・送信時に暗号化を施し、盗まれても解読されないようにします。
  • バックアップと災害復旧計画(DRP)の策定:定期的にデータのバックアップを行い、ランサムウェアなどの攻撃に備えます。

4. アクセス制御

社内の情報やシステムにアクセスできる人を厳密に管理することで、内部からの攻撃を防ぎます。

アクセス権限の適切な管理

  • 多要素認証(MFA)の利用:パスワードだけでなく、追加の認証手段(スマホの認証アプリ、指紋認証など)を使用します。
  • ゼロトラストセキュリティモデルの採用:「信頼しない、常に確認する」という方針で、全てのアクセスを疑い、認証と検証を行います。

5. 人的要素の強化

多層防御の一環として、従業員のセキュリティ意識を高めることも重要です。

社員教育と意識向上

  • セキュリティ研修の実施:フィッシング攻撃やソーシャルエンジニアリングへの対策を含む、定期的なセキュリティ研修を実施します。
  • セキュリティ意識向上キャンペーン:社内でのポスター掲示や定期的な情報提供を通じて、セキュリティ意識を常に高めます。

多層防御の導入ステップ

多層防御を効果的に導入するためには、以下のステップが役立ちます。

導入ステップ

  • 現状のリスク評価を行う:まず、自社のセキュリティリスクを評価し、どの分野が最も脆弱であるかを特定します。
  • 優先順位を設定する:特定されたリスクに基づき、どの対策から実施すべきか優先順位を決めます。
  • 適切なツールとサービスを選定する:リスクに応じて、適切なセキュリティツールやサービスを選びます。
  • 社内の全員に周知徹底する:多層防御の方針や具体的な対策を全社員に理解させ、協力を得ることが必要です。
  • 定期的な見直しと改善:セキュリティ環境は常に変化します。定期的にリスク評価を行い、必要に応じて対策を更新します。

まとめ

多層防御は、サイバー攻撃から企業を守るための最も効果的な戦略の一つです。単一の防御策に依存するのではなく、複数の防御層を組み合わせることで、攻撃者にとって非常に困難な環境を作り出します。企業のセキュリティレベルを向上させるために、多層防御の戦略を今すぐ取り入れましょう。

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