クリプトジャッキングとは?

PCが乗っ取られる!

更新日:2024.12.21 投稿日:2024.12.21 サイバー脅威

近年、サイバーセキュリティの分野で注目されている「クリプトジャッキング(Cryptojacking)」という言葉をご存じでしょうか?これは、仮想通貨(暗号資産)のマイニングを目的に、他人のコンピュータやスマートフォンを無断で利用する犯罪行為を指します。自分では気づかないうちに、PCやスマホの処理能力が盗まれている可能性があるため、非常に厄介な問題です。この記事では、クリプトジャッキングがどのようなもので、どのように対策すべきかを紹介します。

仮想通貨のマイニングとは?

先ず、仮想通貨のマイニングについて簡単に説明しておきます。仮想通貨マイニングとは、中央銀行や規制当局を介さずに分散型システムを利用して取引をする仮想通貨において、取引データを検証して、ブロックチェーンに新しいブロックを追加する作業のことです。

主要な用語の説明

  • ブロック:取引情報(トランザクション)を集めて暗号技術を用いて格納したもの。
  • ブロックチェーン:インターネット上の参加者同士でブロックを共有するための記録・管理データベース。
  • マイナー:マイニング作業を行う参加者。
  • ナンス値:ブロック生成に必要な特定の条件を満たす数値。
  • ブロックチェーン:インターネット上の参加者同士でブロックを共有するための記録・管理データベース。
  • ハッシュ値:データを固定長の文字列に変換したもの。

マイニングの仕組み

  • トランザクションの検証:マイナーは、ネットワーク上の取引データを収集し、その正当性を確認します。
  • ナンス値の探索:マイナーは、新しいブロックを生成するために、特定の条件を満たすナンス値を探します。この過程で大量の計算を行います。
  • ブロックの生成:正しいナンス値が見つかると、新しいブロックが生成されます。このブロックには、検証済みの取引データとナンス値が含まれます。
  • ブロックチェーンへの追加:生成されたブロックは、他のネットワーク参加者によって確認された後、ブロックチェーンに追加されます。
  • 報酬の獲得:ブロックの生成に成功したマイナーは、報酬として新しく発行された仮想通貨を受け取ります。

マイニングの課題

  • 高い電力消費:マイニングには大量の電力が必要で、環境への影響が懸念されています。
  • 専門的な知識と機器:効率的なマイニングには、専門知識と高性能な機器が必要です。

クリプトジャッキングとは?

クリプトジャッキングは、こういった仮想通貨のマイニングを行うために、他人のコンピュータやデバイスの処理能力を無断で不正に使用するサイバー犯罪です。マイニングでは非常に多くのコンピュータの処理能力を必要とします。そのためクリプトジャッキングでは、攻撃者がターゲットとなるコンピュータのリソースを奪い、その処理能力を利用して仮想通貨を掘り出すのです。

これにより、攻撃者はマイニングによって得た仮想通貨を自分のものとし、被害者は知らぬ間に自分のPCがその作業に使用されてしまいます。

クリプトジャッキングの手法

クリプトジャッキングは主に2つの方法で行われます。

  • マルウェアを使用する方法
    攻撃者はマルウェア(悪意のあるソフトウェア)をターゲットのデバイスに感染させ、裏で仮想通貨のマイニングを実行させます。この手法では、メールの添付ファイルや偽のソフトウェア更新通知などを使って、ユーザーにマルウェアをインストールさせることが一般的です。マルウェアがインストールされると、ユーザーはマイニングが行われていることに気づかないまま、PCのリソースを奪われ続けてしまいます。
  • ウェブサイトでのスクリプトを利用する方法
    別の手法として、ウェブサイトに組み込まれたスクリプトを使って、訪問者のコンピュータで仮想通貨のマイニングを行う方法があります。これを「ブラウザマイニング」とも呼びます。ユーザーがサイトを訪れると、ページに埋め込まれたスクリプトがバックグラウンドで動作し、マイニング作業が始まります。この手法でも、ユーザーが意識することなく、PCやスマートフォンが使われてしまいます。

クリプトジャッキングの影響

クリプトジャッキングは、被害者に様々な悪影響を及ぼします。

  • PCやスマートフォンの動作が遅くなる
    仮想通貨のマイニングには膨大な計算リソースが必要です。そのため、クリプトジャッキングに感染したデバイスでは、PCやスマートフォンの処理速度が遅くなってしまいます。特に、グラフィックボードやCPUの性能が低い場合、顕著なパフォーマンス低下が見られます。
  • バッテリーの消耗が早くなる
    スマートフォンやノートPCがクリプトジャッキングのターゲットになった場合、マイニング作業によってバッテリーの消耗が異常に早くなります。マイニングに必要な計算を行うことで、CPUやGPUがフル稼働するため、電力を大量に消費するのです。
  • デバイスの寿命が短くなる
    長期間にわたってクリプトジャッキングが続くと、デバイスの温度が上昇し、ハードウェアに負荷がかかります。その結果、デバイスの寿命が縮む可能性もあります。最悪の場合には、過熱によるハードウェアの故障が発生するかもしれません。

クリプトジャッキングの防止方法

では、どのようにしてクリプトジャッキングから自分のデバイスを守ればよいでしょうか。以下の方法を実践することで、リスクを減らすことができます。

  • ソフトウェアやOSのアップデートを定期的に行う
    OSやアプリケーションのセキュリティアップデートは、脆弱性を修正し、サイバー攻撃から守るために非常に重要で、クリプトジャッキングを防ぐためにも役立ちます。
  • セキュリティソフトを導入する
    そして最も重要なのは、信頼性の高いセキュリティソフトを導入し、定期的にシステムスキャンを行うことです。これにより、マルウェアや不正なプログラムを早期に検出し、駆除することが可能になります。
  • 不審なリンクやファイルを開かない
    メールやメッセージで送られてきた不審なリンクやファイルを開かないようにしましょう。特に、送信者が不明な場合や内容が怪しいと感じる場合は、リンクをクリックすることは絶対に控えましょう。
  • ウェブサイトでのマイニングを防止する
    ウェブブラウザには、マイニングをブロックするための拡張機能(例:NoCoinやMinerBlock)があります。これらをインストールすることで、ブラウザ経由でのクリプトジャッキングのリスクを大幅に減らすことができます。

まとめ

クリプトジャッキングは、仮想通貨のマイニングを不正に行うために、他人のコンピュータやスマートフォンを利用する犯罪です。

知らないうちに自分のデバイスがマイニングに使われてしまうと、パフォーマンスの低下やバッテリー消耗など、さまざまな不都合が発生します。これを防ぐためには、セキュリティソフトの導入や注意深いインターネット利用、ソフトウェアのアップデートが欠かせません。

デジタルライフを安全に楽しむために、今一度セキュリティ対策を見直し、クリプトジャッキングから身を守りましょう。

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