踏み台攻撃とは?

知らないうちに加害者に!

更新日:2024.12.14 投稿日:2024.12.14 サイバー脅威

踏み台攻撃とは、サイバー攻撃の一種で、攻撃者が他の人のコンピュータを「踏み台」にして、別のターゲットに攻撃を仕掛けることです。この攻撃の特徴は、攻撃者が自らの関与を隠すために他のシステムを中継点として悪用し、まるで自分の代わりに他人に攻撃を実行させるようなイメージです。したがって、被害者は気づかないうちに、自分のコンピュータが攻撃に使われてしまうのです。この記事では、踏み台攻撃のメカニズムから防御策について説明していきます。

踏み台攻撃のメカニズム

踏み台攻撃は、次の3つのステップで用意周到に実行されます。

1. 侵入
攻撃者は、まずセキュリティの弱いコンピュータを見つけ出し、こっそりと侵入します。

2. 中継点として利用
侵入したコンピュータを「踏み台」として設定し、ここから他のコンピュータへの攻撃を開始します。これにより、攻撃者は自分のIPアドレスを隠し、追跡を回避できるわけです。

3. 攻撃実行
踏み台となったコンピュータから、様々な攻撃が実行されます。例えば、ウェブサイトをダウンさせるDDoS攻撃や、個人情報を盗み出す攻撃などが挙げられます。この段階では、攻撃元は踏み台として使われているシステムに見えるため、本来の攻撃者を突き止めるのは非常に難しくなります。

踏み台攻撃の影響

踏み台攻撃は、個人や組織に深刻な影響を与えることがあります。主な影響は以下の通りです。

  • セキュリティ侵害
    踏み台として利用されたシステム自体がセキュリティ侵害を受けており、その後も不正アクセスやデータ漏洩などのリスクが高まります。
  • 信頼性低下
    攻撃の発信源として疑われ、組織や個人の信頼性は、大きく損なわれる可能性があります。特に企業の場合、顧客や取引先からの信用失墜につながることも…。
  • 法的責任
    踏み台攻撃に巻き込まれた側が、法的に責任を問われるケースも存在し、大きな損害賠償を請求されることもあります。特に、不正アクセス防止法に触れる可能性もあります。

踏み台攻撃の例

踏み台攻撃に利用されていることに気がつかない事例としては、次のようなものがありました。

  • 自宅のPCがボットネットの一部に
    ホームルーターのセキュリティ設定が甘い状態のまま、PCを使用していたところ、マルウェアに感染。感染したPCが攻撃者に遠隔操作され、他のウェブサイトへのDDoS攻撃などに利用されました。
  • 企業の社内ネットワークが踏み台に
    社員が不注意にフィッシングメールを開き、マルウェアに感染。感染したPCを経由して、社内ネットワーク全体が乗っ取られ、他の企業への攻撃に利用されました。
  • IoTデバイスが攻撃の足掛かりに
    スマート家電や防犯カメラなど、IoTデバイスのセキュリティ設定が甘いまま放置されていたところ、これらのデバイスを踏み台として、機密情報を盗み出すなどの攻撃が行われました。

なぜ気づかないか?

踏み台攻撃に気づかない理由は、次のような点にあります。

  • 小さな変化に気づきにくい
    マルウェアに感染すると、コンピュータの動作が遅くなることがありますが、それがあまりにも微妙で、ユーザーが気づかずにそのまま使い続けてしまうことがよくあります。
  • バックグラウンドでの遠隔操作
    遠隔操作は普段意識しないバックグラウンドで実行されるため、攻撃者が実際に攻撃を行っているときに、システムの利用者がそれに気づくことは非常に難しいです。

多くのケースでは、外部からの指摘を受けて、ようやく踏み台攻撃に気づくことがほとんどです。

どうやって防ぐか?

踏み台攻撃に対する防御策は、技術的な対策と、従業員やユーザーの意識向上を合わせて行うことが効果的です。以下のような対策が有効です。

  • 脆弱性管理
    定期的にシステムやネットワークの脆弱性をチェックし、必要なパッチやアップデートを適用することが大切です。また信頼できるセキュリティソフトを導入し、常に最新の状態に保ちましょう。
  • 多要素認証の導入
    アクセス制御には多要素認証を導入し、不正アクセスのリスクを減らすことができます。
  • ネットワーク監視の強化
    ネットワークのトラフィックを常に監視し、不審な動きを早期に発見できる体制を整えることが求められます。
  • 社員教育と啓発活動
    従業員に対してセキュリティ教育を行い、特に不審なメールは開かず、添付ファイルも実行しないように、意識を高めてもらうことが大切です。

まとめ

踏み台攻撃は、攻撃者が他者のシステムを悪用し、自身の痕跡を隠すために用いる巧妙な手法です。その結果、被害者のシステムは攻撃の中継点となり、知らぬ間に加害者になってしまう可能性が生じてしまうのです。

踏み台として利用されるシステムには脆弱性が多いため、継続的な管理と強化が不可欠です。また、ユーザーや組織のセキュリティ意識を高めることも、攻撃を防ぐためには非常に重要な要素と言えるでしょう。

踏み台攻撃の脅威をよく理解したうえで、常に対策を講じておくことが、組織や個人のセキュリティを守るための第一歩となります。

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