シャドーITの脅威

更新日:2024.11.14 投稿日:2024.11.14  情報セキュリティ

シャドーITは、組織のIT部門が把握していない、従業員が個人的に導入したITツールやサービスを指します。例えば、業務効率を高めようとして個人が使用するクラウドストレージやメッセージングアプリなどがこれに該当します。便利ではあっても、これらのツールはしばしば組織のセキュリティポリシーに反することが多く、さまざまなリスクを招く恐れがあります。この記事では、シャドーITの危険性とその対策についてご紹介します。

シャドーITはなぜ危険か?

セキュリティの脆弱性

シャドーITは、組織のセキュリティ体制外で運用されるため、脆弱性が狙われるリスクが高くなります。未承認のツールやアプリケーションは、最新のセキュリティパッチが適用されていない場合が多く、サイバー攻撃者にとっては格好のターゲットとなるのです。

データ漏洩のリスク

従業員が個人のクラウドサービスに機密情報を保存していると、そのデータが適切に保護されない恐れがあります。これが原因で、意図せず情報漏洩が発生し、組織に深刻な損害を与えることも考えられます。

コンプライアンス違反

多くの業界では、データ管理やプライバシー保護に関する厳格な規制が存在します。シャドーITによって、これらの規制が意図せず逸脱されることがあり、その結果、法的なトラブルを引き起こす恐れがあります。

IT資産管理の困難

シャドーITが広がると、組織はどのツールやサービスが使用されているのかを把握することが難しくなり、IT資産管理が煩雑になります。このため、無駄なコストが生じたり、システム運用に支障をきたすことがあるのです。

シャドーITはマルウェアに感染しやすい?

私用スマホの感染

アンチウイルスソフトが未導入の私用スマホがマルウェアに感染すると、その端末が組織のネットワークに接続された際に、組織全体に感染が広がるリスクがあります。

フリーWi-Fiの利用

業務用パソコンをフリーWi-Fiに接続すると、暗号化されていない通信が第三者に盗み見られる危険性があります。このような場合、不正アクセスやマルウェア感染のリスクが一気に高まります。

シャドーITが原因の代表的なセキュリティ事故例

USBメモリの紛失

2022年6月、関西の市で、業務委託先の職員が市民の個人情報を記録したUSBメモリを無断で持ち出し、紛失した事件が発生しました。このケースでは、約46万人分の個人情報が漏洩するリスクがあったとされています。

私用パソコンの不正利用

2022年10月、ある県立高校の教員が私用パソコンを無断で業務に使用していたところ、遠隔操作を受けて個人情報漏洩のリスクが生じました。

外部ストレージへの不正持ち出し

2023年3月、大手通信企業の元派遣社員が顧客情報を外部ストレージに不正に持ち出し、約596万件の個人情報が不正利用されるリスクが高まりました。

シャドーITへの対策

セキュアな代替手段の提供

従業員がシャドーITを利用する背景には、公式ツールの使い勝手や効率の低さがある場合があります。そのため、組織としては公式に承認された、安全で使いやすいツールを提供し、従業員が安心して業務を行える環境を整備することが重要です。

IT資産管理ツールの導入

IT資産管理ツールを活用し、組織内で使用されているすべてのデバイスやアプリケーションを監視することができます。これにより、未承認のツールやデバイスを迅速に特定し、適切な対策を講じることが可能となります。

認証情報の一元管理

パスワードマネージャーや多要素認証(MFA)の導入を進め、認証情報を一元的に管理することが可能です。これにより、従業員が外部サービスを利用する場合でも、安全性を確保できます。

ポリシーとプロセスの整備

明確なセキュリティポリシーとプロセスを策定し、それらを全社員に周知徹底することが不可欠です。新しいツールやサービスを導入する際には、そのプロセスに基づいて事前に承認を得るよう指導することが必要です。

従業員教育の強化

定期的なセキュリティトレーニングを実施し、従業員にシャドーITのリスクとその影響について十分に理解させることが大切です。この教育を通じて、従業員が自発的にセキュリティポリシーを遵守する文化を育むことができます。

まとめ

シャドーITは現代の組織において避けられない問題となっていますが、そのリスクを正確に理解し、適切な対策を講じることで、被害を最小限に抑えることが可能です。

技術的な対策と従業員教育の両面から取り組むことで、安全で効率的なIT環境を構築できるでしょう。このような取り組みが、組織全体の生産性向上にも繋がることは間違いありません。

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